はじめに
こんにちは。レアジョブのサービス開発チームの三上です。
先日スクラムガイドが3年ぶりにアップデートされました。 私が初めてスクラムマスターを担当したのが2018年だったので、 これまで何度も読み返してきましたし、時には他のスクラムマスターと読みあわせを実施してきたので 自分にとっての教科書が更新されたようなもので、これは個人的には大きな出来事でした。
この記事では、その変更点について自分なりの意見・理解を混じえながら語りたいと思います。
2017年版からの変更点
前回との変更点については公式のスクラムガイドにも記載がありますので、 詳しくはスクラムガイド2020をご確認ください。
いくつかの変更点の中で、この記事では以下の2つの変更点について注目したいと思います。
- 指示的な部分を削減(デイリースクラムでの質問削除)
- プロダクトゴールの導入
変更された内容について、公式のガイドではこのように説明されています。
スクラムガイドは時間が経つにつれて少し指示的なものになっていた。2020 年版では、指示的 な表現を削除または緩和して、スクラムを最小限かつ十分なフレームワークに戻すことを目的 としている。たとえば、デイリースクラムの質問の削除、PBI(プロダクトバックログアイテム) の属性に関する記述の緩和、スプリントバックログにあるレトロスペクティブのアイテムに関する記述の緩和、スプリントの中止のセクションの削減などを実施した。
この「デイリースクラムの質問の削除」についてですが、これまでのスクラムガイドでは
- 開発チームがスプリントゴールを達成するために、私が昨日やったことは何か?
- 開発チームがスプリントゴールを達成するために、私が今日やることは何か?
- 私や開発チームがスプリントゴールを達成する上で、障害となる物を目撃したか?
のようにあくまで「例」として説明されていました。
しかし、私自身いくつかのチームを立ち上げる際にはまずはこの例を参考にやってみることが多かったですし、 実際に多くのチームが同じようにデイリースクラムを行っていたのではないでしょうか。
なぜ変更されたのか?
まず私がこのデイリースクラムの質問の削除されたことを目にした時にすぐに「なるほど」と納得しました。
なぜかと言うと私自身も開発メンバーとして、スクラムマスターとしてデイリースクラムに参加した経験の中で、 この3つの質問をすることだけをこなしてしまい、目的を見失ってただただ報告し合うデイリースクラムを何度も目撃してきたからです。
では何が重要かと言うと、 各メンバーがデイリースクラムで達成したい目的を理解して実施することだと考えています。
デイリースクラムの目的を理解する上で重要だと思っているのが「スプリントゴール」の理解です。
今回の変更でもう一点合わせて説明しておきたいのが、 「プロダクトゴールの導入」についてです。
以下のように、ブレイクダウンして順に説明していきます。
プロダクトゴール>スプリントゴール>デイリースクラム(24時間ごとの計画)
まず、スクラムチームを組んでいるからには達成したいプロダクトのゴールがあるはずです。 無いとは思いますが、ゴールを知らないまたは無い場合は今すぐにプロダクトオーナーと会話しましょう!笑
プロダクトゴールを達成するための成果物は「プロダクトバックログ」となります。
スプリントプランニングでは、プロダクトバックログからアイテムを優先度順にスプリントバックログに移してスプリントの計画を立てます。 プランニング時には、そのスプリントが完了した時にどんな状態になっているか、開発チームはそれを説明出来ないといけません。
そして、スプリントプランニングの成果物は「スプリントバックログ」となります。各スプリントではスプリントゴールを設定します。
では改めてデイリースクラムの目的ですが、スクラムガイド2020では
デイリースクラムの目的は、計画された今後の作業を調整しながら、スプリントゴールに対する進捗を検査し、必要に応じてスプリントバックログを適応させることである。
とされています。 スプリントゴール達成のための、再計画の場であると言うことです。
説明が長くなってしまいましたが、 なぜデイリースクラムの質問がなくなったかと言うと、 本来の目的がゴール達成のための検査と適応の場であるはずが 目的を理解せず、具体的な3つの質問だけをする進捗報告の場になってしまうケースが多かったからではないかと考えています。
レアジョブでは?
理想はありつつも、レアジョブのスクラムチームでもTRY&エラーしながらやっています。
デイリースクラムもそうですが、各スクラムイベントにおいて、 HOW(どうやって達成するか)の部分って議論が盛り上がりませんか? やりたい事や課題解決をどう達成するかはエンジニアの得意とする所でもあるが故に、 弊社でもよく議論が盛り上がります。笑
そんな時に重要になってくるのがWHY(なぜそれをやるのか)という観点だと思います。 これを念頭において、どう実現するのがベストなのかやり方について話し合うと答えが見えてくるかも知れません。
最後に
今回はデイリースクラムを中心にお話しましたが、 スクラムにおいて改めて強調したいことは以下の通りです。
- 軽量なフレームワークである
- 意図的に不完全であり、まずはそのまま試そう
- 役割、イベントの目的を理解しよう
- 詳細な指示はないのでチームで考えよう(自己管理しよう)
スクラムガイド2020が伝えたいこと その1として書かせていただきましたが、 その2があるのか無いのか、乞うご期待です。
以上です。それではまた!