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docker版 redash を最新版 v9 (ベータ版) へ upgrade する

redash の version 9 のベータ版が公開されました。

変更点がかなりあるので Changelog を見るだけでも面白いです。

V9 changelog (in master) by arikfr · Pull Request #4967 · getredash/redash · GitHub

個人的に興味深かった点が以下の 4つ です。

  • frontend は 100% React へ。( Angular、いままでありがとう!)
  • backend の job実行は Celery から RQ へ。
  • backend が Python 2 から 完全に Python 3へ。
  • data source に Amazon CloudWatch, Amazon CloudWatch Logs Insights が追加された。

と、今回の redash は frontend も backend も完全に刷新されており、今まであったメジャーアップデートの中でも一番のターニングポイントだと感じてます。

なにはともあれ version up

レアジョブでは redash が version 3.0 の時から使っており、定期的に version up をしていたのですが、1年半ほど前にversion 6 に上げてからは滞っておりました。

我々としては Amazon CloudWatch の連携が魅力に感じました。まずはベータ版というステータスなので社内の検証環境の redash を version upすることにしました。

redash は メジャー version up をすると redash 自体のデータを格納している postgres のスキーマ構造が変わることがよくあります。

version up するには redash で用意している migration tool を実行する必要があります。 ただし注意する必要があるのが

If you are currently running an instance of Redash prior to V7, do not upgrade directly to V8. Upgrade semantically to V7 first.

とあるように、 version が 7より下の場合は、まず先に version 7 へするようにと明記されています。 公式が提供している docker image を使いながら docker-compose.yml で定義する利用する docker image の version を一つづつあげていきます。

version 毎の docker image は以下公式ドキュメントをご覧ください。 https://redash.io/help/open-source/admin-guide/how-to-upgrade

例えば、version 6 から、version 7にあげる際は docker-compose.yml を以下のようにします。

before

services:
  server:
    image: redash/redash:6.0.0.b8537

after

services:
  server:
    image: redash/redash:7.0.0.b18042

その後

docker-compose run --rm server manage db upgrade

を行うと、server コンテナで migration tool が稼働し、redash の postgres に対しスキーマを変更しに行きます。 エラーが出なかったら

docker-compose up -d

で redash を起動してください。 login すると redash の version をブラウザ越しに確認することができます。 期待通りの version になっていることと、動作確認を行い問題なければ、先ほど行ったように docker-compose.yml で指定するイメージの version を上げて同様の作業を繰り返していきます。

version 9の起動

migration は成功しましたが、起動に失敗する事象に陥りました。

なぜ起動に失敗するのか原因を書く前に、 redash の構成をお話しする必要があると思います。 redash は 1つのコンテナイメージを使い複数コンテナを立ち上げ、それを相互に連携しあう事で動くようになっております。 https://github.com/getredash/redash/blob/master/bin/docker-entrypoint に定義してある server、scheduler、worker は最低限必要であり、 以下のように利用するコンテナイメージと、起動コマンドを定義して各コンテナを立ち上げる必要があります。

services:
  server:
    image: redash/redash:9.0.0-beta.b42121
    command: server
   (略)

  scheduler:
    image: redash/redash:9.0.0-beta.b42121
    command: scheduler
   (略)

  worker:
    image: redash/redash:9.0.0-beta.b42121
    command: worker
   (略)

この仕組み自体は以前と変わらないのですが今回、backend の仕組みが変わったことで、コンテナ を動かす上で必須となる環境変数が変わったことが原因のようです。

各コンテナに対して環境変数を書いていくと多くの場合冗長になってしまうので、公式の docker-compose.yml にある x-redash-environment のように環境変数の設定は1箇所にまとめ、各コンテナはそれを読み込むような作りにすると環境変数の漏れを防ぐことができるかもしれせん。

https://github.com/getredash/redash/blob/master/docker-compose.yml#L11

必要な環境変数が受け渡れば問題なく起動できます。

v9 を使うにあたってベンチマークスコアなどは取っておりませんが frontend も backend も生まれ変わったことで、レスポンスは体感で速くなったと感じています。

新しく追加された機能などについてはまた別の機会でお話しできればと思いますが、今回は docker版 redash を最新版へ upgrade する方法について記載させていただきました。

もちろん、今回はベータ版ですがGA になった場合は GA に update する予定です。

以上です。